院内日誌
日本の猫の歴史
いつの間にか梅雨も明け、連日厳しい暑さが続いております。
無理せず冷房を活用し、猛暑を乗り越えましょう。
全国の猫好きの方、お待たせしました!
今月のブログは猫の雑学についての話です。
ただし、これを知っても今後の猫ライフに役に立つことは全くないです。
読むと少しほっこりできるような内容だと思いますので、少々お付き合いお願いします。
まずはいつ頃から日本に猫がいたかご存知でしょうか?
長崎県の遺跡から猫の骨が発見され、約2100年前のものであることが分かりました。
つまり、弥生時代にはすでに日本に猫がいたということです。
その後、奈良から平安時代にかけて、中国から仏教の経典を運ぶ船とともに本格的に猫が渡来したとされています。
この猫は『唐猫』と呼ばれ、当時の貴族たちに愛玩動物として飼われるようになったようです。
『枕草子』や『源氏物語』にも猫が登場するようですが、
猫に関する最初の記述がある書物は、第59代天皇、宇多天皇の日記である『寛平御記』であるとされています。
宇多天皇は父の光孝天皇から黒猫を譲り受け、『寛平御記』にはこの黒猫のことが事細かに書かれており、
いかに寵愛していたかが分かる内容となっています。
そのため、日本で最初の愛猫日記、現代でいう最初の愛猫ブログであるとされています。
内容を一部紹介したいと思います。
「身体の長さは約45cm、高さは18cmほど、かがむ姿は小さな黍(きび)のようで、伸びた姿は長い弓に似ている。
いつも頭を低くし、しっぽを地面につけている。」
「毛の色は類稀で、他の猫はぼやけた黒色だが、この猫は漆黒で墨のようである。丸まっているときは足もしっぽも見えず、
その姿は黒い宝玉のようだ。」
「歩くときは、音も声も立てず。まるで雲の上を行く黒龍のようで、ネズミを捕らえるのも、他の猫より上手だ。」
「猫にこう言ってみた。「お前は心と身体があるのだから私の心が分かるな。」すると猫は、猫は胸いっぱいの様子で、喉を鳴らし、
私の顔をじっと見つめていた。」
「私は毎朝ミルク粥を与えて可愛がっているが、それはこの猫が優れているからではなく、
単に先帝(父)から受け継いだものだから大事にしているのである。」
平安時代の天皇がこのような日記を書いていたことを想像すると、なんとも微笑ましい内容だと思いませんか?
溺愛ぶりがうかがい知れますが、ツンデレ具合もまたなんとも言えません。
また、この黒猫はとても幸せだったに違いないでしょうね。
猫の魅力は、時代を超えて愛される存在だったと思うと、とても感慨深いものです。
ペットを想う気持ちは昔も今も変わらないですね。
長い文章になってしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました。
最後に当院の黒猫の写真でお別れしたいと思います。