院内日誌
変形性関節症
今年は季節外れの暑さが続いていましたが、段々と肌寒くなってきました。
寒くなってくるとその気候の変動によってお腹の調子が悪くなったり、ネコちゃんだとおしっこの調子が悪くなったり健康に影響を及ぼすことが少なくありません。
そんな寒さが関連するであろうトラブルの中で今回お話ししようと思うのが関節炎(変形性関節症)です。
変形性関節症は骨と骨との間でクッションの役割をしている軟骨に負担がかかることで次第に関節が変形し、慢性的な痛みや動作に困難が生じる関節疾患の一つです。
ワンちゃんではその有病率が40%近くあると報告され、ネコちゃんではなんと1歳以上で約74%、12歳超で90%の子がこのトラブルを抱えている可能性が報告されています。
その症状としては、ワンちゃんで…
・運動後に足を引きずる
・散歩でノロノロ歩く
・ゆっくり立ち上がる
・ジャンプが苦手
・動作がぎこちない
・階段が苦手
などです。また、猫ちゃんでは…
・階段を登るとき:「ウサギ飛び」のように後肢で同時に跳ねて登る
・階段を降りるとき:体を横向きにして一段ずつ降りる
・動くものを追いかけるとき:途中でゆっくりしたり休憩したりする
・ジャンプするとき:飛び乗る前にためらう
・飛び降りるとき:飛び降りる前にためらう。地面に前足を伸ばして降りる
・走るとき:全体的に動きが遅く、歩きと早歩きを交互にする
などです。
治療としては消炎鎮痛剤などを用いて痛みの管理をしますが、腎臓が悪い子などではそういったお薬が使いづらくなっていることが多く、高齢な子では腎臓も悪いが変形性関節症を罹患している子も多いです。
近年、そういった子でも使いやすい可能性がある抗体医薬というものが獣医療でも開発されてきました。これによりワンちゃんもネコちゃんも1ヶ月に1回の皮下注射で痛みの管理を行える可能性があります。
これからますます寒さは厳しくなっていくかと思います。
もしおうちの子が上に書いてあるような症状がありましたら、ぜひご相談ください。