眼科診療
動物たちの目を守るために

動物たちの目の病気には緑内障など、すぐに治療が必要な病気が多数あります。いつもと様子が違うと気づいても、そのまま様子を見てしまうと、治療が間に合わなくなり失明することもあるのです。犬や猫の目に違和感を感じたら、すぐに志木いわい動物病院へご相談ください。
志木いわい動物病院では白内障や水晶体脱臼、シリコンインプラント置換術などの外科手術にも対応しております。
特に白内障手術に力を入れ、最新の手術装置や眼科手術用顕微鏡などを用いて、動物たちの体への負担を抑えた手術を進めてまいります。
こんな症状ありませんか?
- 最近白目が充血している
- 目やにが急に増えてきた
- 涙やけが治らない
- 目の表面が黒く、または白く濁ってきた
- 眼球の表面が乾燥している・艶がない
- 歩く時に物にぶつかるようになった
- 目がしょぼしょぼしている
志木いわい動物病院の眼科診療設備
最新の眼科治療をすぐに行えるように、検査機器から手術機器まで様々な最新設備を取り揃えております。
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眼圧計
・トノベット電子眼圧計
(M.E.Technica:TV01)点眼麻酔をすることなく、目に瞬間的に当てるだけで眼圧(眼球の硬さ)を測定することができます。緑内障やぶどう膜炎の発見と治療効果の判定に用いられます。
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眼圧計
・トノペン
(Medtronic:TONO-PEN XL)眼球に押し当てることで、トノベットと同じように眼圧測定をすることができます。
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眼科用倒像鏡
・HEINE:双眼倒像鏡
網膜や硝子体を目で直接見て確認する際に使います。両眼でじっくりと見ることができるため、立体的に確認することが可能です。
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眼底カメラ
・メニワン(Clear View)
カメラを通して眼底(眼の奥に存在する網膜や神経など)の状態をパソコン上に描き出すとともに、撮影画像も保存することができます。
撮影画像を撮り続けることで、時間とともに起こる症状の変化を確認できます。また、飼い主様に病気や症状をご説明する際にもこの画像をお見せしています。 -
拡大鏡
・ポータブルスリットランプ
(KOWA:SL-15)眼科用の拡大鏡です。眼瞼・結膜・角膜・水晶体・前部ぶどう膜・硝子体などの状態を細かく観察することができます。
拡大鏡の機能だけをもつもののほか、CCDカメラつきのものもあり、拡大した目を撮影することもできます。撮影画像はPCへ保存し、時間とともに起こる変化を追うために使用しています。 -
網膜スクリーニング検査装置
・アイリスベット
(メニわん:メラン100)赤色光と青色光の波長の違いを利用することで、網膜機能に異常がないか、また眼外(神経)の病気で視覚が失われていないかを簡易的に判断することができます。
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白内障手術装置
・ホワイトスターシグネチャー システム (AMO)
白内障手術で使用している最新の手術装置です。
白内障になると、水晶体蛋白が変化を起こして硬くなります。この硬くなった水晶体蛋白に超音波による振動を与えて柔らかく乳化してから、吸い取って除去します。白内障手術時には欠かせない装置です。 -
眼科手術用顕微鏡
・CARL ZEISS
眼科手術では、肉眼では行えないほどに大変細かい手術(マイクロサージェリー)を行わなければなりません。
志木いわい動物病院では眼科手術用顕微鏡を通して、細かな構造を確認しながら手術を進めています。またエキゾチックアニマルの手術や、尿管縫合や椎間板ヘルニア手術に使用することもあります。
肉眼では見ることのできない細かな血管や構造も手術用顕微鏡を通して確認でき、出血の少ない安全な手術を行うことができます。 -
網膜電図
・TOMEY LE-100
視力が落ちたり失ったことがわかったら、網膜電図を使い、網膜機能と脳神経系のどちらの異常なのかを判断します。
また、白内障手術の術前検査にも活用しています。白内障手術の目的は視力を回復することです。そのため、検査によって網膜機能に異常が見つからなければ、白内障手術は行いません。 -
マイクロサージェリー器具
眼科手術で使用する鋼製の器具です。
眼瞼、結膜、角膜の他、眼内手術にも使用します。眼科手術は非常に繊細な手術のため、一般手術用の器具に比べて大変細かな構造となっています。
代表的な目の病気
角膜潰瘍
角膜とは眼の中央を覆っている、血管が通っていない透明な膜です。「角膜潰瘍」とはその角膜に傷がついた状態を指します。
主な原因としては、ケガやすり傷など「直接外から受けた刺激」の他、涙の量が減ったり異常が起こることで起こる「眼の保護能力の低下」などがあげられます。
具体的な症状は眼の充血、目やに、目を痛がる、流涙などが代表的です。また、強い炎症を起こして角膜自体が白く濁ってしまうこともあります。
角膜は傷がついても外目にはなかなかわかりません。そのため、フルオレセイン染色を使って角膜の傷を色づけてから診断を行います。
多くの場合は、適切な点眼療法によって治癒することができますが、状況によって角膜を保護する専用のコンタクトレンズを装用することもあります。症状が重く治りにくい場合には瞬膜被覆術や眼瞼縫合、結膜有茎転位術などの外科手術も行うことになります。
結膜炎
結膜とは眼瞼から角膜輪部を覆っている、半透明な膜です。「結膜炎」とは、その結膜に炎症が起きた状態を指します。
主な原因としては、物理的刺激、感染症、涙の減少や異常、腫瘍があげられます。
症状は眼の充血、目やに、目を痛がる、流涙、むくみが見られます。
患部をフルオレセイン染色で色づけて角膜潰瘍か結膜炎かを診断します。また、ぶどう膜炎か結膜炎かを診断するためにはスリットランプ検査や眼圧測定などを行います。
なお、結膜炎は猫の眼科疾患の中で最も多く見られます。
たいていの場合、原因はヘルペスウイルスです。子猫の頃に感染し、充血・浮腫などの結膜炎やくしゃみ・鼻水などを起こすようになります。
治療の際には、抗ウイルス薬やインターフェロン、サプリメントを使います。
また、細菌感染も同時に起こしていることが多く、その場合は抗生物質も併用します。
残念ながら、ヘルペスウイルスは完全に除去することはできません。そのため、長期間点眼を行い症状を緩和していきます。ストレスによって悪化することもあるので、毎日の生活環境にも気をつけてあげましょう。
眼瞼腫瘤
眼瞼とは、結膜と角膜を保護するための器官です。中には涙の成分を分泌するマイボーム腺が含まれています。
マイボーム腺腫はこの眼瞼に起こる良性の腫瘍で、犬に比較的よく起こります。腫瘍が大きくなって常に眼に触れるようになると、角膜や結膜を傷つけてしまい、涙が止まらなくなります。そのため、マイボーム腺腫の治療では、眼瞼の一部を含む根元から外科的に切除します。
眼瞼にはマイボーム腺腫以外の腫瘍が発生することもあります。そのため、手術で切除した腫瘤には病理組織学的検査も行います。
緑内障
緑内障とは、眼球の中にある眼房の内圧(眼圧)が上昇する病気です。
眼房の中は循環する眼房水で満たされています。ところがこの眼房水が流れ出る経路が何らかの原因で塞がれてしまうと、眼圧が高まってしまうのです。
代表的な症状としては、
眼圧の上昇
上強膜の充血
白眼が充血します。
眼球が大きくなる
悪化すると、牛の眼のように眼球が大きくなることがあります(牛眼)。
角膜浮腫
角膜が白く濁ります。
失明
目の痛み
全身状態の低下
食欲低下、元気消失といった症状が認められることもあります。
眼圧が上昇し続けていると、視神経が圧迫されることになります。そのため視野が狭まり、見えない部分がだんだんと増えていきます。最悪の場合、失明に至ります。
なお結膜炎、角膜炎、強膜炎、眼球炎などと症状が似ていますが、眼圧が上昇する疾患は、主に緑内障を疑います。
白内障について

白内障とは
白内障とは、眼の中にある水晶体の蛋白と、水晶体を取り囲んでいる嚢が白く濁ってしまう病気です。
初期段階では視覚が少し落ちるだけですので、飼い主様でも気がつかないことがあります。悪化するにつれて、だんだんと視覚は失われていきます。
さらに白内障は、白内障のみにとどまらず、進行するにつれて他の眼内疾患を続発してしまうことがあります。
続発しやすい疾患としては、眼球内の炎症、水晶体脱臼、高眼圧、網膜出血や剥離などです。こうして目が見えなくなるだけでなく、痛むようになり、生活の質が低下してしまいます。
今のところ、犬の白内障については手術を受けることで視覚を回復することができます。

白内障の原因
遺伝性
遺伝的に白内障になりやすい犬種があります。
代表的な犬種としては、コッカー・スパニエル、ミニチュア・シュナウザー、トイ・プードル、ボストン・テリア、ラブラドールレトリーバー、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、ミニチュア・ピンシャー、柴犬、ミニチュア・ダックスフント、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなど。
ただし、上記以外の犬種やミックス犬も発症することがあります。
代謝性
糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能低下症、低カルシウム血症などによって引き起こされます。
中毒性
主に薬物中毒によって引き起こされます。
続発性
各種網膜疾患、緑内障、ぶどう膜炎、外傷(異物、猫の爪、事故など)によって引き起こされます。

白内障の治療
症状に合わせて、「内科治療」と「外科治療」を行います。
内科治療の目的は、白内障の進行を遅らせることです。また、白内障によって引き起こされる続発性疾患のコントロールも行います。ただし、現在の医療(獣医学)では白内障を根本的に治すことはできません。
外科治療の目的は「視力の回復と合併症の予防」です。手術により水晶体(レンズ)内の白濁した内容物を取り除くことで、視力は回復させることができます。まずは適切な検査を行い、適切な時期を選んで手術を行います。

白内障手術の内容
白内障手術は非常に繊細な手術です。
手術には、通常の手術に使うよりも繊細な、鋼製の「マイクロサージェリー器具」を使用します。
手術用顕微鏡で細部まで見て確認をしながら、特殊で精密な手術機器「超音波乳化吸引装置」を用いて水晶体を破砕し、吸い取っていきます。
技術の進歩によって、手術機器が高精度化し、眼内レンズも小さく切開できるようになりました。そのため、手術の傷はわずか3mm程度で済み、術後の痛みも最小限に抑えられます。
また手術で使用する器材の多くにディスポーサブル製品を採用しています。手術ごとに新しいものを用意できるため、衛生的で感染予防にも繫がります。

術前・術後について
白内障手術には、飼い主様のご協力が必要不可欠です。
またご家族の皆様に、手術の内容・合併症・術前術後検査や管理に関して十分にご理解頂くことで、より良い結果を導くことができます。
なお、術前検査の結果によっては手術を行うことができない場合もございますので、ご理解のほどお願いいたします。
症例紹介
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Before
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After