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夏の皮膚トラブル

2021年7月30日(金)

夏の暑い日が続きますが、体調にお変わりないでしょうか?

日本の夏は湿度も高く、ワンちゃん・ネコちゃんたちも色々なトラブルを抱えやすくなります。

今回はその中でも皮膚トラブルの一つである「膿皮症」というものを紹介したいと思います。

 

膿皮症は皮膚の細菌による感染症です。感染症というと「〜からもらったの?」とか「ヒトにもうつるの?」と思ってしまいますが、そういったものではありません。

健康な皮膚にも菌は存在していて、それが皮膚バリアの減少などにより病的に増えることで症状を発現します。日和見感染ともいいます。

症状としては、脱毛やフケ、赤いポチポチや円形のカサブタの様なものがみられます。

痒みは様々で全く気にしないこともあれば、痒がる子もいます。

ワンちゃんは比較的よくみるトラブルですが、ネコさんはあまり多くありません。

 

では、なんで夏に多いのでしょう?

それは上にも書いてある通り、暑さ、湿気によるムレなどにより皮膚のバリアが落ちることにあります。

なので、この時期の膿皮症はお腹側にみられることが多いです。

 

では、なってしまったどうしたらよいでしょう?

自然に治ることも小さい病変であればありますが、多くが増えすぎてしまった菌をやっつける治療が必要になります。

それは飲み薬として抗菌薬、外用薬として抗菌成分のある外用薬、シャンプーなどが挙げられます。

ただ、菌も生きようしていくため、薬に対する耐性を持つことがヒト医療も獣医療も配慮しなければいけないことになってきています。

そのため、可能なら抗菌剤のお薬ではなく、抗菌成分の含まれている外用薬やシャンプーをご提案させていただくことが増えています。

 

じゃあ、夏だけになる皮膚のトラブルか、というと、違います。

皮膚のバリアが低下すれば、菌は増えやすい環境になるため、一年中なる可能性があります。例えば、ブラッシングを頑張りすぎちゃって皮膚に傷がついたり、シャンプー後に乾かす時にドライヤーの温風を近くで長時間当てたり、ワンちゃん自身が舐めたり、掻いたりして外傷になったりとバリアの落ちる原因は様々です。

他にも、高齢になるに伴い甲状腺の機能が落ちていくと、全身の代謝が落ちるため、やはり皮膚のバリアは落ちます。

そのため、場所や季節など「この時期あんまり膿皮症ならないんだけどなぁ」とか「この場所に膿皮症ができるのは珍しいなぁ」という子、治療している時はいいんだけど終わるとまたぶり返すという子には何かそのバリアが落ちる原因がないか、詳しくお話を聞かせていただくこともあれば、検査を提案させていただくこともあります。

 

膿皮症は比較的痒みのない皮膚のトラブルといいますが、痒みがないわけでなないので、見つけたら是非ご相談ください。

また、夏は脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎が悪化しやすい時期です。ノミなどの外部寄生虫もよくみられる季節です。いずれも赤かったり、痒みが強いトラブルなのでこちらもお気軽にご相談いただけたらと思います。